
こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
前回から、
「“隠れ”機能不全家族 毒親じゃないのに心が弱い?」
というシリーズ形式の記事を書いています。
第1回目の前回は、
虐待のない家庭でもメンタルが弱くなる
「隠れ機能不全家族」の特徴を解説しました。
もしまだ読んでいない場合は、
ぜひ前回の記事を読んでみてください。
でも、毒親ではないはずの親が、
なぜ私たちをこんなにも
生きづらくさせてしまうのでしょうか?
第2回目では、その理由となっている
隠れ機能不全家族が生まれる3つの構造的な原因を
お伝えします。
この構造を知れば、自分を責めることも、
親を恨むこともない、新しい視点が得られるので
ぜひ最後まで読んでください。
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『“隠れ”機能不全家族 毒親じゃないのに心が弱い?
(第2回目)』
親が原因であなたの心が病む構造
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私は、機能不全家族および隠れ機能不全家族の
話をするのが、個人的にとても好きです。
なぜなら、メンタルが弱い人の多くは
「自分が原因だ」みたいに、
自分を責めすぎる傾向があるからです。
あなたも、もしかしたらそうかもしれません。
そういった人に対して、
「あなたは悪くないですよ」と、
新しい視点を私は提供したいのです。
そうすることで、自分をあまり責めなくなるからです。
ただ、勘違いしないでほしいのは、
「あなたの親が悪いんですよ」と
言いたいわけでもないのです。
「えっ? どういうこと?」って思いませんか?
多くの人は「自分が悪くないんだったら、
親が悪いんじゃないの?」と思ってしまいがちです。
だからこそ、今回は
隠れ機能不全家族について、
いろいろな原因をお伝えしたいのです。
この原因を、影響度の高い順に3つ紹介します。
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原因1.親もまた隠れ機能不全家族で育った
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1つ目の原因は、
「親もまた隠れ機能不全家族で育った」ことです。
これを心理学の世界では世代間連鎖と言います。
つまり、自分も親ガチャで爆死したけれども、
親もまた親ガチャで爆死していたというパターンです。
永遠に終わらない親ガチャ地獄ですよね!(笑)
簡単に言えば、
自分が親から学んだ不適切なコミュニケーションを、
親が無意識のうちに自分の子供にも
繰り返してしまっているんです。
たとえば、私の父は私のことを叩いて育てたのですが、
父もまた祖父から叩いて育てられたと言っていました。
ほらね、連鎖しているでしょ?
次に、私の母は私に対して過干渉でした。
でも、そんな母もまた、
祖母から過干渉の状態で育てられたのです。
だから、境界線ゼロの状態で、私は母に対して常に
ノーガードフルチンのような状態だったんです。
「どういう意味?」と感じると思うので、
私のストーリーをご紹介しましょう。
私は実家が新潟なのですが、
大学進学で逃げるように東京にやってきました。
私は実家が息苦しくてしょうがなかったので、
とにかく実家を出たかったのです。
ということで、大学生になり、
夢の一人暮らしが始まりました。
もう、最高ですよ!
この解放感、あなたも伝わりますか?
しかし、1つ予想外のことが起きました。
一人暮らしが始まると、
母から毎日のようにメールや電話が来たんです。
うざくないですか?
「お前は俺の恋人じゃないんだぞ。
というか、恋人でもとっくに別れてるわ!」
と思っていました(笑)
ですので、私は母からのメールと電話を
シカトし始めたんです。
メールは10回に1回くらい返信するくらいで、
電話はもちろん着信拒否です。
そうしたら、ある日事件が起きました。
私が夜、家に帰ってみると、
なぜか家の電気がついてるんですよ。
「おかしいなぁ。朝家を出るとき、
ちゃんと電気は消したはずなのに……」
と思いながら、玄関のドアに鍵を差し込んで回しました。
そうしたら、なぜか鍵がかかっていなかったんです。
怖くないですか?
「どういうこと? 朝家を出るとき、
鍵をかけ忘れたのかな……」と思いながら、
玄関のドアを開けたんです。
そうしたら、
玄関に私の母親が座っていたんです。
このとき、私は頭が混乱してフリーズしました。
本当にぞっとしました。
「なんで……ここにいるの……?」と、
声を絞り出して母に聞いたんです。
すると、母は答えました。
「一進と全く連絡がつかないから、
心配になって来たんだよ」と。
「ええっ! たまに返信はしてるじゃん」と
私は言いましたが、母はそれに応えず、
「新潟から新幹線に乗ってやってきたんだよ」と言うのです。
話がまったく噛み合いません。
ヤバいでしょ?
仕方なく話を変えて、
「どうやって、家に入ったの?」と質問すると
母は「合鍵」と合鍵を取り出しながら言ったんです。
ああ、そうでした。
私が大学生になって一人暮らしを始めるときに、
その家の合鍵を1つ母に渡していたんです。
母はその合鍵を使って
勝手に家に上がり込んでいたんです。
ドラえもんのひみつ道具みたいに
「合鍵」と母が言ってきたとき、
軽くホラーでしたねw
「心配だから来る」のは百歩譲って、
まだわかる。
でも「家に上がり込む」のはおかしいでしょ?
まあ、こんな感じで母は私に過干渉だったのですが、
母もまた祖母から過干渉で育てられたんです。
母が高校生になったときに、
祖母は母の進学先も全部勝手に決めたそうなんです。
私の母の過干渉は、祖母ゆずりだったんですね。
こんな感じで、隠れ機能不全家族の親にも
悪気があるわけではありません。
自分の親から学んだ不適切なコミュニケーションを、
子供に対してもやってしまっているんです。
つまり、隠れ機能不全家族は
家系が原因のことが多いのです。
ということで、もしあなたの家族が
隠れ機能不全家族だったとしたら、
祖父母の家族も隠れ機能不全家族かもしれません。
機会があれば調べてみてください。
ちなみに、私のように過干渉の親に育てられると、
その子供は人間関係の距離感がバグった大人になるんです。
つまり、人間関係で常に過剰な境界線を引いてしまい、
孤独になったり、助けを求められなかったりするんです。
だから、クソ生きづらいんです。
あるいは、逆に距離感が近すぎて、
相手の話を断れなかったり、人に利用されたりします。
その心の奥底には、
「人から見捨てられたくない」という
見捨てられ不安があるのです。
しかも、そういうダメな人間関係のパターンを
何度も繰り返すことが多いんです。
この特徴にあてはまるあなたに、
私は次の言葉を伝えたいです。
「あなたはこれから、自分を大切に扱ってくれる人を
選ぶ生き方をしていいんですよ」と。
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原因2.親が心理的に未成熟だった
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2つ目の原因は親が心理的に未成熟なことです。
たとえば、あなたは子供のときに
親から愚痴を聞かされたことってありませんか?
私は、あるんですよ。
私が小学生の頃、母は父とケンカをした後、
こんな愚痴を私に吐きました。
「一進はパパではなくて、ママの味方だよね?」と。
そう聞かれたときの私の気持ちは
「いや、俺、まだランドセル
背負ってるんですけど!?」でした(笑)
当然ですよね?
まだ小学生なのに、私が愚痴の聞き役だったのです。
要は、母は心理的に未成熟だったので、
夫婦ゲンカのイライラを、
自分の中で処理できなかったのです。
だから、小学生の私に愚痴を吐くことで、
ストレスを解消したんです。
便器にタンカスを吐くくらいの感覚で、
グチを吐いていたのでしょう。
ちなみに、こういう夫婦ゲンカの愚痴って、
子供に吐くのは最悪ですよ。
なぜだかわかりますか?
それを聞いた子供は
父親と母親のどちらの味方につけばいいか
わからなくなるからです。
子供って、基本的に
パパとママの両方が大好きなんですよ。
なので、パパとママのどちらかなんて選べないんです。
それにもかかわらず、パパとママのどちらかだけの
味方にならなければいけないという状態は、
子供にとってはとても苦しいんです。
当たり前でしょ?
グチ以外でも、「親がすぐにキレる」とか
「親が自分のミスを子供に謝れない」とかも、
親が心理的に未成熟なパターンです。
あとは、教育パパ・教育ママもそうですね。
「自分が勉強が苦手だった劣等感」を埋めるため、
親が『ドラゴン桜』になっちゃうやつですw
こういった心理的に未成熟な親に育てられた子供は、
自己肯定感が低くなります。
大人になっても必要以上に責任を感じて、
「自分が我慢すべき」と自己犠牲して疲弊するのです。
この特徴にあてはまるあなたに、
私は次の言葉を伝えたいです。
「あなたが背負ってきたものは、本来、
親が背負うべきものでした。あなたは、
もうその荷物を降ろしていいんですよ」と。
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原因3.親の経済的ストレス
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3つ目の原因は外部からのストレスです。
あなたの幼少期、家族はお金持ちでしたか?
親が経済的に困難だと、
機能不全家族になりやすいのです。
つまり、子どものメンタルに悪影響を及ぼします。
これはカナダのトロント大学の調査ですが、
経済的困難にあると虐待する確率が
2倍になるというデータもあります。
Examining the Relationship between Economic Hardship and Child Maltreatment Using Data from the Ontario Incidence Study of Reported Child Abuse and Neglect-2013 (OIS-2013)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5371750/
はっきりとは覚えていないのですが、
私は親に「何かのおもちゃが欲しい」と
言ったことがあります。
そのとき、母親がピリピリして、
「うちにはそんなお金はない」とか
「贅沢はできない」と言ったことがあるんですよね。
そのときは「あっ、やばい……」っていう、
「地雷を踏んじゃった感」がえぐいんです。
あなたも親からそんなことを言われたことはないですか?
私の父は自営業をやっていました。
その会社の業績が悪いときは、
家の中の空気が常にピリピリしていたのを覚えています。
そうすると、子供は
「漠然とした不安感」をいつも感じてしまうのです。
その結果、どんな影響があると思いますか?
そういう状況下で育った子供は、
大人になっても自分の感情を抑圧して、
他人の顔色をうかがい続けるようになりがちです。
さらに、「漠然とした不安感」を
いつも感じやすくなったり、
自滅的な人生を送ったりする場合も多いです。
この特徴にあてはまるあなたに、
私は次の言葉を伝えたいです。
「生き延びるためのあなたの選択は、
すべて正しかったんです。だからこそ、
これからは”生きやすさ”を選んでいいんですよ。」と。
以上、3つが、隠れ機能不全家族として多い原因です。
これら以外だと、次のような原因もあります。
・親がうつ病や統合失調症などの精神疾患
・親が自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害
・親がアルコールやギャンブルなどの依存症
・親がシングルマザーなどで過度なストレスが溜まっている
さて、特に隠れ機能不全家族で育った人は、
親に対して感謝と恨みの両方の気持ちを持っています。
つまり、「自分をちゃんと育ててくれたことには
感謝している。だけど、私のメンタルが弱いのは
親のせいなんじゃないか」という感情です。
たとえるなら、「甘いけどしょっぱい気持ち」です。
これわかりますか?
スイカに塩を
いっぱいかけたような気持ちですねw
でも、安心してください!
毒親でもない限り、
恨む必要は全くありません。
ぜひ親に感謝をしてほしいと私は思います。
だって、隠れ機能不全家族になってしまった原因は、
親にあるわけではないからです。
「えっ、そうなの?」と思ったかもしれません。
はい。
どちらかというと、家系や経済的ストレスなど、
「親を取り巻く構造」が原因です。
早い話が、親も被害者だったんです。
親を憎む必要はありません。
むしろ、親を憎むと
あなたが苦しくなりますよね?
ですので、
隠れ機能不全家族の構造を理解することによって、
「親を恨まなくてもいいんだ」と
自分に許可を出してもらいたいんです。
さて、ここまで読んで、
あなたはこう思うかもしれません。
「隠れ機能不全家族の原因は、わかった。
でも、自分のメンタルが弱いのはどうすればいいの?」と。
そこで、このテーマについて、
次回の記事で紹介していきます。
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「“隠れ”機能不全家族 毒親じゃないのに心が弱い?」
の第2回目でした。
次回も、楽しみにしていてください。