
こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
今回からの記事は、
「“隠れ”機能不全家族 毒親じゃないのに心が弱い?」
と題して、シリーズ形式で書きます。
もしかしたら、「機能不全家族って何?」
と思ったかもしれません。
機能不全家族とは、
「家族の機能が壊れている家族」で
一般的に虐待やDVがある家庭のことを指します。
この機能不全家族で育った子供は、
「メンタルがとても弱い大人」になってしまうことが
よく知られています。
たとえば、自己肯定感が低く、落ち込みやすく、
常に他人の顔色をうかがうような大人です。
虐待やDVがあれば、そうなるのも当然ですよね。
さて、重要なのはここからです。
私は今まで約10年にわたって、
のべ1000人以上の起業家に対して
心理学を教える講座をやってきました。
その理由は、私が典型的な機能不全家族で育ったからです。
メンタルがクソみたいに弱くて、
人生をかけて心理学を勉強したら、
心理学を教えることが仕事になっていました。
その講座の中で、
私が参加者からよくいただく質問があります。
それは、「私の親は別に毒親じゃないのに、
私はメンタルが弱いんです。なぜでしょうか?」
という質問です。
あなたも、当てはまりませんか?
たしかに、毒親だと
子供のメンタルが弱くなるのは当然です。
でも、メンタルが弱くて悩んでいる人の多くは、
“隠れ”機能不全家族で育っているんですよ。
つまり、虐待やDVがないのに、
子供のメンタルが弱くなってしまうタイプです。
このタイプは、家庭の問題が見えづらいため、
自分のメンタルが弱いのは親が原因だということに
なかなか気付くことができません。
そこで、このシリーズでは、
“隠れ”機能不全家族について解説します。
ぜひこのシリーズを最後まで読んで、
あなたの生き辛さの正体と克服法を知ってください。
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『 “隠れ”機能不全家族 毒親じゃないのに心が弱い?
(第1回目)』
「普通の親」が子供の心を蝕む理由
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さて、「機能不全家族」という心理学用語を聞いて
あなたは、「家族の機能ってそもそも何だろう?」と
疑問に思いませんか?
これがわかると
「機能不全家族あるいは隠れ機能不全家族とは何か」
が理解できるんですよ。
ですので、ここでそのヒントとなるクイズを出します。
機能不全家族ではなく、
機能”完全”家族があるとしたら、
どんな家族だと思いますか?
機能完全家族というのは私の造語ですが、
意味は予想できますよね?
機能不全家族の反対です。
最もわかりやすいのは、
アニメの『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』や
『クレヨンしんちゃん』の家族です。
こういった国民的アニメを思い出してください。
実は私、子供のときにこれらのアニメが
マジで嫌いでした。
なぜなら、見ていると心臓がドキドキして、
胃もキューッとするからです。
もしかしたら、
あなたも同じように感じていませんでしたか?
当時の私は、これらのアニメがなぜ嫌いなのか
うまく言語化できませんでした。
でも、大人になり、
メンタルを改善した今であれば言語化できます。
それは「嫉妬」をしていたからです。
羨ましくてしょうがなかったんですよね。
そして、同時に、
自分の家族がやばいことに直面させられるからです。
たとえば、『サザエさん』の夕食シーンを見たとき、
私はこう感じていました。
「ああ、夕食って、こんなに和やかなものなんだ……。
うちの食卓は、いつも親のどちらかが不機嫌で、
会話は必要最低限なんだよね。
サザエさんちは、ご飯中に家族全員が
心から楽しそうに笑ってるけれど、
なんでうちってこんな風になれないんだろう」と。
また、『ちびまる子ちゃん』でまるちゃんが
駄々をこねているシーンを見たとき、
私はこう感じていました。
「まるちゃんって、親にワガママ言って、
ちょっと叱られるけれど、結局受け入れられてる……。
うちで感情的になったら、無視されるか、
『うるさい!』って言われるだけだろうな。
あんなに自分の気持ちをストレートに出して、
許されるってどういうこと?」と。
もちろん、『クレヨンしんちゃん』に関しても
同じようなことを感じていました。
あなたは子どもの頃、これらのアニメを見て
どう感じていましたか?
どのアニメにしても、羨ましくないですか?
本音を言うと、私の家族も
こういった家族であってほしかったんです。
でも、自分の家族は正反対でした。
だから、こういった家族アニメの世界が、
なんかファンタジーを見ているみたいでした。
もしかしたら、あなたも
同じように感じていたかもしれませんね。
つまり、この機能完全家族の特徴をまとめると
次の5つです。
1.どんな自分でも受け入れてくれる
2.心のままに話し合える
3.一人ひとりを大切にする
4.みんなで力を合わせて解決する
5.弱さや過ちを認められる
ここまで、理解できましたか?
一般的に言うと機能不全家族とは、
虐待やDVがある家族です。
でも、別に虐待やDVがなくても、
家族の機能が不足していれば、
隠れ機能不全家族なんです。
これって、具体的にどういう状況なのかわかりますか?
たとえるなら、隠れ機能不全家族の子供は
「鳥かごに入れられた鳥」のような状態です。
餌も水も与えてもらえる。
雨風もしのげる。
でも、自由に空を飛ぶことだけは
絶対に許されない。
そんな息苦しい状態です。
このわかりやすい例が、
映画『千と千尋の神隠し』に出てくる
「坊(ぼう)と湯婆婆」です。
坊ってわかりますか?
金太郎みたいな服を着たデブガキですw
湯婆婆は専用の子供部屋に
息子の坊を閉じ込めています。
さらに、湯婆婆は坊に
「おんも(=お外)はバイキンしかいない」と言って、
部屋の外に出ないようにコントロールしていました。
この話は明らかに嘘で、ただの情報操作です。
だって、坊はあきらかに体が丈夫そうですし、
部屋の外に出た後に坊が病気になった描写も
なかったからです。
坊は普通に言葉が話せるほど成長しているので、
部屋の外に出たほうがいい年齢のはずです。
でも湯婆婆は、坊が部屋の外に出て
成長するチャンスを奪っていました。
つまり、湯婆婆の坊への接し方は、
溺愛とか甘やかしというレベルをはるかに超えていて、
有害なレベルなんです。
さて、あなたも幼少期に家庭内で
息苦しさを感じていませんでしたか?
では、どういうときに息苦しさを感じるのか、
隠れ機能不全家族の特徴をご紹介しましょう。
【特徴1】条件付きの愛情
たとえば、私が幼い頃、
大好きだった絵を描きたいと言うと、
親はこう言いました。
「絵もいいけれど、将来のためには
もっと勉強しなさい。才能がある子じゃないと、
絵では食べていけないよ」と。
正論すぎて、グーの音も出ませんよね。
だからこそ、
グーで殴られたようなダメージです(笑)
私は「親は私の気持ちを大切にしてくれない」
という寂しさを感じました。
要は、私の気持ちを親は無視したり否定したりしたんです。
あとは、テストで良い点を取った日だけ、
私の父は私を褒めてくれました。
「さすが、俺の息子だ!」と。
でも、私がテストで悪い点を取ると、
父はため息をついたり、
少し態度が冷たくなったりするんです。
そのとき、何か心がグサっときたんです。
この気持ち、あなたにもわかりますよね?
私はいつしか、「頑張って成果を出さなければ、
自分には価値がないんだ」と思うようになりました。
たとえるなら、親の期待という「綱渡り」を、
ずっとさせられていた感覚でした。
つまり、父の愛は条件付きの愛情だったんです。
だから、私には
「何かをしたときだけ、自分は愛される」
という感覚が染み付いていたわけです。
一方で、無条件の愛情とは
どんなものかわかりますか?
私は、大人になってからその答えを知りました。
さまざまな心理学書を読んでいたとき、
その中の一冊に、衝撃的な言葉を見つけたのです。
その本には、「健全な自己肯定感とは
『何をしても、しなくても、自分は愛される』
ということですよ」と書いてありました。
えええーー!
私は、このとき初めて
「何をしても、しなくても、愛される」ことこそが、
本当の愛情だったんだと気づいて心底驚きました。
私は今まで、親から「条件付きの愛情」しか
受けてこなかったんです。
「何をしても、しなくても、愛されるなんて、
そんなファンタジーみたいな世界があってたまるか!」
と思ったんですね。
でも、同時に気付いたんです。
「自分の自己肯定感が低い理由は、
条件付きの愛情で親から育てられたからだ」と。
「何をしても、しなくても、愛される」と聞いて、
あなたはどう感じますか?
もし、ピンと来たら、
これこそがあなたが求めていたものなのです。
【特徴2】感情と発言の抑圧
私が幼少期のことで思い出すのは、
家族で何かを決めるときのことです。
私が意見を言おうとしたら、
父が遮るように次の言葉を言いました。
「お前はまだ子どもだから、
黙って親の言うことを聞いていればいい」と。
こういったシーン、あなたも覚えがないですか?
別に、父はどなっているわけでもなく、
穏やかな口調なんですよ。
でも、私は意見を全く言えないので、
胸がキューッとするわけです。
そんな経験が続くと、次第に、
自分の考えを話すことが怖くなると思いませんか?
このときは、
「私の話には価値がない」「何を言っても無駄だ」
と、口を塞がれているような感覚でした。
これが隠れ機能不全家族でよくある
「感情と発言の抑圧」です。
【特徴3】境界線を侵食される
私が思春期になると、私の親はノックもなしに、
いきなり私の部屋に入ってくるんですよ。
「おい! 勉強しているか!」と。
ビクッとしますよね。
まるで、サバンナのシマウマみたいに(笑)
そして、勉強していないと
「ほら、そんなんだと受験で合格できないぞ!」
といった小言が始まるのです。
マジでウザいでしょ?
当時は、「せめてノックくらいしてくれよ」と
漠然とした息苦しさを感じていました。
でも、その息苦しさの正体が何なのかは
わからなかったんです。
大人になって心理学の本を読み、
ようやく「自分の境界線が親に侵食されていたんだ」
とわかりました。
「境界線」とは心理学用語なのですが、
簡単に言うと「心のテリトリー」みたいな意味です。
「ここから先は立ち入ってほしくない」
みたいなテリトリーって誰にもありますよね。
たとえば、物理的なテリトリーなら、
自分の部屋やお風呂などです。
あるいは、感情的なテリトリーなら、
過去のトラウマやコンプレックスについての話などです。
そういったテリトリーの中に、
私の親はすごい勢いでガッて入ってくるんですよ。
まるで、プリウスに乗った老人が、
暴走してコンビニに突っ込んでくるみたいにw
もしかしたら、あなたも
私と似たような経験がありませんか?
これは重要なので覚えておいてほしいんですが、
「子供が精神的に大人になる」とは、
だんだんと境界線ができてくることなんです。
たとえば、産まれたばかりの赤ちゃんには、
境界線はありませんよね?
親からミルクをもらったり、
オムツを変えてもらったりしないと
生きていけないからです。
でも、子供は成長するにつれて自立していき、
だんだんと境界線ができてきて、
思春期くらいで親とは別の人間になります。
それにもかかわらず、私の親は当時、
「家族なんだから、部屋に入るのは当たり前でしょ」
みたいに言っていました。
でも、それは間違いなんです。
なぜなら、思春期に境界線を侵食された子供は、
他人との境界線がない大人になるからです。
つまり、
メンタルがクソ弱くなるんですよ。
私はまさにこのパターンでした。
たとえるなら、
常にノーガードフルチン状態ですw
メンタルが弱くて当然でしょ?
ここまではどちらかと言うと、
過干渉なタイプの機能不全家族を紹介しました。
「過干渉」とは干渉しすぎということですね。
「坊と湯婆婆」みたいな関係で、
親が子供の言動や感情を縛ってくるタイプです。
私はこれを縛りプレイと呼んでいます。
でも、その逆もあるんですよ。
つまり、親が子供を
放置プレイするタイプです。
要は、隠れ機能不全家族って
放置プレイと縛りプレイの2種類があるんですよ。
あ、ここではセクシャルの意味はないので
期待しないでくださいね(笑)
放置プレイな機能不全家族というのは、
感情的つながりが希薄で、冷淡な家族です。
「子どもが何を感じているか」に親が無関心で、
最低限の世話はするものの、
「心の交流」がない同居人のような関係です。
たとえば、『千と千尋の神隠し』で言えば、
千尋と、千尋の両親の関係性が放置プレイです。
映画の冒頭のシーンを思い出してみてください。
千尋の両親は無人の屋台で、何の迷いもなく
謎の料理をガツガツと食べ始めるじゃないですか?
https://www.ghibli.jp/works/chihiro/#frame&gid=1&pid=4
そのときに、後ろで千尋が不安そうにしていましたが、
両親はガン無視しているんです。
千尋はこのとき、
「ねぇ帰ろ! お店の人に怒られるよ!」
と言っていましたよね。
そういった子どもの気持ちに注意を払わず、
親が自分の欲求を優先する。
これが、典型的な「放置プレイ」の家族です。
「あの両親が食いしん坊だからでしょ?」
と思うかもしれませんが、それは違います。
そもそも、
両親が子どもの心に寄り添うことができないか、
あるいはその必要性を感じていないんです。
結果的に、千尋は家族の中で
孤立無援の状態に置かれていました。
しかも、異世界で一人ぼっちですよ?
もしかしたら、あなたも千尋みたいに、
「親に寄り添ってもらえなかった」と
感じた経験があるかもしれません。
すると、大人になってからも、
自分の感情を抑圧しがちになります。
それはあなたのせいではなく、
放置プレイの家族が原因です。
ちなみに、心理学用語では、
縛りプレイのことを纏綿(てんめん)家族、
放置プレイのことを遊離(ゆうり)家族と呼びます。
ただ、纏綿家族とか言っても、
心理学の初心者には全然伝わらないんですよ。
なので、私は纏綿家族とか遊離家族ではなく、
あえて縛りプレイと放置プレイと言っています。
その方が伝わりやすいからです。
さて、ここで考えてみてください。
毒親ではないはずの親が、なぜ私たちを
こんなにも生きづらくさせてしまうのでしょうか?
それは、親自身が無意識のうちに
特定のパターンを繰り返しているからです。
これを、次回の記事で紹介します。
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「“隠れ”機能不全家族 毒親じゃないのに心が弱い?」
の第1回目は以上です。
もし、あなたが、
隠れ機能不全家族に少しでも心当たりがあるなら、
ぜひ次回の記事も見逃さないようにしてください。