
こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。
今回は、
「ペルソナって意味ないの? まさかの検証結果」の
第4回目です。
第3回目では、
じゃがビーが大ヒットした本当の理由は
「シチュエーション」であることをお伝えしました。
売上と因果関係があるのはペルソナではなく、
買うシチュエーションの数なのです。
つまり、多様なシチュエーション(場面・状況)で
お客さんに選ばれたからこそ、
じゃがビーは年間100億円の売上を達成できたのです。
しかし、順風満帆に見えたじゃがビーにも
大きな試練が待っていました。
2013年頃から売上が急激に低迷し、
2018年には社内で「廃止すべきではないか」と
言われるまでになったのです。
なぜ、このような事態になったのでしょうか?
そして、売上が低迷していたじゃがビーは、
どのようにして、V字回復を果たしたのでしょうか?
第4回目では、この売上低迷とV字回復の理由を
シチュエーションの観点から解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、あなたのビジネスに役立つ
重要な教訓を手に入れてください。
(第1回目~第3回目の記事も、
まだ読んでいない場合は読んでみてください)
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『ペルソナって意味ないの? まさかの検証結果
(第4回目)』
じゃがビー転落とV字回復の秘密
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さて、最初は軌道に乗っていたじゃがビーですが、
2013年頃から売上が低迷し始めます。
あなたはその理由がわかりますか?
第3回目の記事の内容を理解していれば、
「買うシチュエーションの数が
少なくなったからじゃないの?」
と思うかもしれません。
そう! 正解です。
まさにそのとおりなんです。
では、カルビーのしくじりとV字回復の理由について、
詳しく解説していきますね。
この話、マーケティング中上級者にとっても
興味深いですよ!
まず、カルビーは2013年頃から、
変わった味のじゃがビーを発売し始めました。
「変わった味って何?」と思ったかもしれません。
たとえば、定番のうすしお味に加えて、
ローストガーリック味とかトマトサルサ味などを
次々と投入したんです。
これによって、お客さんの注意を引いて、
買ってもらうという「味違い作戦」をしたんです。
この味違い作戦が、売上低迷の原因だったのですが、
なぜこれがダメかわかりますか?
ヒントを言いますね。
こういう味違い作戦は、
一般的には成功することが多いんです。
事実、じゃがりこも味違い作戦をやってますよね。
定番のサラダ味に加えて、
のり塩ごま油味とか旨辛明太チーズ味とか、
変わった味を「今でも」どんどん投入しています。
では、答えを発表しましょう。
じゃがビーが失敗したのは、
じゃがりこと同じように味違い作戦をしたからです。
ええっ!?
なんで同じように味違い作戦をしたのに、
じゃがりこは成功して、じゃがビーはしくじったの?
そう思いませんか?
ほら、思い出してください。
じゃがりこの味に飽きたときの、
浮気相手がじゃがビーだったはずです。
なのに、じゃがりこだけでなく、
じゃがビーも変わった味を出してしまったら、
じゃがりこの味に飽きても
じゃがビーに浮気してもらえないのです。
前回の記事の内容を思い出してくださいね。
じゃがりこは正妻で、
じゃがビーは浮気相手でしたよね?(笑)。
つまり、じゃがビーは浮気相手のくせして、
正妻ムーブをかましたんですよ。
浮気相手なのに、イキっちゃったんです。
そして、じゃがビーの方が、
じゃがりこよりも若干値段が高いのは知っていますか?
すると、じゃがビーを選ぶ理由が
いよいよなくなってしまうんです。
「どうせ変わった味を食べるなら、
値段が安いじゃがりこにしておこう」
と、お客さんは思ってしまうからです。
あなたも、そう思いませんか?
こうして、「いつものお菓子に飽きたときの浮気相手」
というシチュエーションを、
じゃがビーは自ら手放してしまったんです。
さらに、じゃがビーは、
もともとは健康そうなイメージを打ち出していました。
なので、罪悪感なく食べられるという
シチュエーションでも選ばれていたのです。
しかし、ここで考えてみてください。
ローストガーリック味のじゃがビーと聞いて、
健康そうに思えますか?
思えないですよね?
明らかに不健康そうで、
イメージが正反対じゃないですか。
まるで、清純派のアイドルが、
セクシー女優になっちゃったみたいな感じですw
そのせいで、
「罪悪感なく食べたい」というシチュエーションでも、
じゃがビーは選ばれなくなってしまったんです。
ほら、前回の記事の内容を思い出してください。
選ばれるシチュエーションの数が
多ければ多いほど売れるんですよね?
でも、じゃがビーは自らそのシチュエーションを
2つも手放してしまったわけです。
これじゃあ売上が下がって当然ですよね。
自分で自分の首を絞めるスタイルです。
では、じゃがビーがそこから
V字回復した理由は何でしょうか?
順番に解説していきます。
まず、正妻ムーブをやめて、
浮気相手のポジションに戻ったことです。
つまり、ローストガーリック味など、
変わった味を売るのは基本的にはやめました。
そういうのは、正妻であるじゃがりこの
得意分野だからです。
さらに、不健康そうな味を売るのもやめました。
ちなみに、今、じゃがビーの味として残っているのは、
うすしお味、バターしょうゆ味、プレーンなど、
いずれも健康そうな味ですよね?
これによって、じゃがビーは
「罪悪感なく食べたい」というシチュエーションで
選ばれるようになったんです。
セクシー女優から、また清純派のアイドルに
戻ったような感じですw
こうして、じゃがビーの売上は回復しました。
そして、ここからが重要です。
じゃがビーは今、さらに新しいシチュエーションでも
選ばれるようになりました。
どういうシチュエーションなのか、
予想がつきますか?
ヒントを出しましょう。
それが、じゃがビーの
パッケージの違いに出ています。
今と昔のパッケージを見てみると、
2019年11月以前は「カップ型」のパッケージです。
https://www.calbee.co.jp/newsrelease/200330a.php
そして、今のパッケージは「スタンドパック型」です。
https://item.rakuten.co.jp/utopia-style/jagabee12x2/
このパッケージの違いによって、
どんなシチュエーションで
新たに選ばれるようになったのかわかりますか?
これ、むずかしく感じるかもしれませんが、
わかったら簡単ですよ。
答えは、「ちょっとだけお菓子を食べたい」
というシチュエーションです。
昔のカップ型だと、開けたら最後、
もう食べ切るしかありません。
まるでパンドラの箱でしょ?
つまり、カルビーはあなたに
こう言っているんです。
「開けたら全部食え!」と。
鬼畜ですよね。
でも、今のスタンドバック型だと、
切り口のすぐ下にチャックがついてます。
なので、じゃがビーを数本だけ食べて、
チャックを閉めれば持ち運びができるんです。
「ちょい食べ」が
できるようになりました。
便利でしょ?
つまり、カルビーは優しくなったんです。
閉められるパンドラの箱にしてくれました。
こういった努力が実を結び、
じゃがビーは売上が伸び、
約100億円売れるようになったんです。
要するに、じゃがビーの売上が低迷した理由も、
V字回復した理由も、
シチュエーションで説明がつくわけですね。
逆に、どちらの理由もペルソナでは説明がつきません。
さて、ここまでの4回の記事で、
「ペルソナではなく、シチュエーションが重要」
ということがおわかりいただけたと思います。
でも、あなたはこう思いませんか?
「シチュエーションが大切なのはわかった。
でも、具体的にどうやって自分の商品の
シチュエーションを見つければいいの?」と。
そこで次回は、
お客さんが買うシチュエーションを見つけてくれる、
無料AIツールを紹介します。
シチュエーションは、
新しいマーケティングの概念なので、
日本ではまだほとんど教えている人がいません。
しかし、次回に紹介するAIツールを使えば、
あなたが回答していくだけで
お客さんが買うシチュエーションがわかるのです。
このAIツールは、私が作ったのですが、
かなり良い出来栄えになったので
楽しみにしていてください。
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「ペルソナって意味ないの? まさかの検証結果」の
第4回目は以上です。
次回、第5回目は、このシリーズの最終回です。
シチュエーションについてもっと知りたい方は、
ぜひ見逃さないようにしてください。